実績紹介

日野市妄想実現課さま 木製鉛筆

日野市で2年間にわたって行われた若者向けプロジェクト「日野市妄想実現課」。
その中の一つのチームが手がけた企画「日野市バズらせ王決定戦」では、活動の一環として行われた特別授業で日野市立滝合小学校の子どもたちに、ガハクラの木製鉛筆が贈られました。

今回は、このプロジェクトでメンターを務められた高野さまに、企画の背景から木製鉛筆を選んでいただいた理由、当日の子どもたちの反応まで、じっくりお話を伺いました。

「日野市妄想実現課」とは、どんな取り組みなのですか?

日野市には、「しあわせのタネを育てあう日野」をコンセプトとした「日野地域未来ビジョン2030」というまちのビジョンがあり、市民同士がまちづくりについて意見を出し合いながらビジョンの実現を目指すプロジェクト(ヒノタネプロジェクト)があります。
ただ運用していく中で、若い世代の意見がなかなか上がってこないという課題があったようで。
それなら「若い人たちだけを集めてやってみよう」ということでこの企画が立ち上がりました。
「日野市妄想実現課」は、参加する若者たちが自分自身を主語にして、日々感じる違和感や『こうなったら面白いのに』という思いを、デザイン思考をベースに掘り下げていくプログラムです。1年目を「妄想フェーズ」、2年目を「実現フェーズ」と位置づけ、初年度に参加者それぞれが立てた問い(妄想)を、2年目に形にしていきました。

一人ひとりの妄想をすべて個別に実現するのは現実的ではないので、2年目にはそれぞれの妄想を大きく3つのチームに分類しました。その中の「Cチーム」が取り組んだのが、今回の「日野市バズらせ王決定戦」です。

「日野市バズらせ王決定戦」というユニークな名前は、どこから生まれたのですか?

きっかけは、ある女性メンバーの実体験でした。
大学に入っていろんな地域から来た人たちと出身地の話になったときに、『日野』と答えても誰にも通じない。だんだん『八王子の近く』とか『八王子のほう』って答えるようになってしまう。ちゃんと『日野』で通じるようにしたい、というのが最初の問題提起でした。

そこから「市の知名度を上げるには」という話し合いが進み、「日野市バズらせ王決定戦」というタイトルが生まれました。
最初に出ていたアイデアには「日野に映画館ができたら」「大きな商業施設ができたら」というものもありました。しかし、それでは近隣の立川や八王子、横浜と何も変わらない街になってしまいます。
「何か新しいものを作る」のではなく、「今あるものでこの町の魅力をどう引き出せるか」。それを考えようという話になりました。

タイトルこそ「バズらせ王」というキャッチーなものですが、その裏側には「参加してくれた若い子たちに、日野の魅力をもう一度自分たちなりに見つめ直して、発見してほしい」という願いが込められています。

最終的に、どのような形で企画を進めたのですか?

「日野の魅力、あったらいいなと思うプログラムやイベントなど、思い思いのアイデアを募集して、良いアイデアには景品を出す」というコンテスト形式で進めることになりました。

そしてこの活動を市民に広く知ってもらうため、イオンモール多摩平の森で1日限りの展示・発表イベントを実施した際に、滝合小学校の先生が偶然立ち寄ったことが、思わぬ展開につながりました。
その先生は以前から私たちの活動を知ってくださっていたようで、展示のときに声をかけてくださり、「バズらせの取り組みが面白いから、うちの子どもたちと何かコラボできないか」とのご提案をいただきました。

そこから、研修生が滝合小学校で特別授業を行い、活動を紹介。子どもたちからもアイデアを募集しました。ただ、プログラムの終盤にさしかかっていたタイミングだったため、子どもたちの発表を単独で行う時間までは確保できず、課外授業の場で景品を配る、という形に落ち着きました。その時の景品としてガハクラの木製鉛筆を選ばせていただきました。

数ある選択肢の中から、木製鉛筆を選んでいただいた理由を教えてください。

景品とするからには、市内の事業者が作っているものや多摩地域で作られたものにした方がいいんじゃないかな、というのは最初のほうから思っていました。

予算が限られていたこと、そして贈る相手が小学生であることから、「小学生が使えるもの」という条件で検討した結果、木製鉛筆にたどり着きました。滝合小学校の校区は日野市の中でも八王子寄りのエリアで、生活圏としても八王子に近いこともあり、近接エリアの地場産材を使うガハクラさんへ依頼する流れになりました。

制作を進める中で、印象に残っているやり取りはありますか?

実物を見せてもらう機会が事前にあって、細かいところまで表現できる技術力があるんだな、というのはそのときに感じていました。ただ、実際に自分たちのロゴを鉛筆という限られた面積に入れてみると、想像していたよりも細かい仕上がりの難しさがあることが分かって。これは僕らが作ったロゴ自体が細かすぎたのも一因だと思っていましたが、「これだと難しいです」というのを都度丁寧に教えてもらえたので、やり取り自体には全く不満はありませんでした。

当日、鉛筆を受け取った児童のみなさんの反応はいかがでしたか?

正直、今の小学生は鉛筆を使うのかな、と少し不安もあったんですが、思っていたよりずっと喜んでくれて。特に印象的だったのが、木の香りに対する反応でした。

『あ、木の匂いがする』って、すごく素直に反応してくれたんです。あのくらいの年齢の子どもたちと接する機会はふだんほとんどないので、どんな反応をするのか全く未知数だったのですが、純粋な反応を見られたのは本当に良かったです。

今後、「日野市妄想実現課」はどのように展開していく予定ですか?

「妄想実現課」自体の活動は今も続いていますが、行政主導のプログラムとしては2025年度で一区切りとなり、2026年度からは民間主体の運営に移行しています。

企画を考えた元・日野市企画部企画経営課の鈴木賢史さんと、プログラム設計を行なった株式会社ディーランド代表の酒井博基さんの2人が中心となり、日野市から名称・ロゴの使用について協議・承諾を得たうえで、「みんなのまちの妄想実現課」という母体のもと、その一コンテンツとして「日野市妄想実現課」を継続しています。

根っこにある「自分を主語に考える」という軸は変わらないものの、2026年度のプログラムは一新されました。greenz.jp元編集長で現在はさとのば大学の学長を務める兼松佳宏さんの著書『beの肩書き』を参考に、「〇〇の代表です」「〇〇をやっています」といった“doの肩書き”に対して、「あなたはどういう人か」を問う“beの肩書き”という考え方を軸に、参加者それぞれが自分なりの「まちの〇〇係」を考えるという内容で進んでいます。

また今年度からは、これまでの「29歳以下」という対象年齢に加えて新たに一般枠(30歳以上)が設けられ、より幅広い世代が参加できるようになりました。最新情報は、公式サイトおよびInstagramFacebookで随時発信しています。

同じように地域活動やノベルティ活用を検討している方へ、メッセージをお願いします。


先程の話とも重なりますが、どうせやるなら地元のものを選ぶのが一番だと思います。文脈としてもストーリーとしても、きちんと筋が通りますから。

今の時代、生活のあらゆるものが人工的なものに囲まれています。特に子どもたちが小さい頃からそういうものに囲まれて育つのは、ある意味では少し寂しいことなのかなと思います。だからこそ子どもたちには、木のような自然素材に触れてほしいという気持ちがありますね。

日野市妄想実現課様

プロジェクト 日野市バズらせ王決定戦
地域 日野市
制作物